2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540040
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
浅沼 照雄 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (50115127)
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Keywords | 開代数幾何学 / 可換環 / 多項式環 / ヤコビアン予想 |
Research Abstract |
代数幾何学の分野で開代数多様体に焦点をあてた開代数幾何学またはアファイン代数幾何学における代数直線、代数平面を研究対象としている。今年度はとくに研究課題のひとつとして取り上げていたヤコビアン予想に関して研究の進展を見ている。ここで取り上げるヤコビアン予想とは2変数の場合で次のように述べられる。「そのヤコビアンが零でない定数となる2変数多項式の対(f,g)で定義された複素代数平面からそれ自身への写像は単射で多項式で定義された逆写像を持つ」 この予想は幾何学的にみれば、「複素平面から複素平面への多項式の対で定義された局所同相写像は大域的に同相写像となる」と同値である。前記(f,g)が局所同相であれば大域的に有限分技被覆となることが代数的に証明できる。この立場に立つとヤコビアン予想が正しいことと分技集合が空集合であることは同値である。それゆえ分技集合が空であることを代数的、位相幾何的に示せばよい。まず問題の簡略化のため、(f,g)にたいして制限を加えた標準的ヤコビアン対の概念を導入しそのような場合に予想が成り立てば元の予想が成り立つことを示した。次に複素射影平面内の無限遠点について擬有限性を定義して、その存在と分技集合の存在は同値である事を証明した。さらに標準的ヤコビアン対の仮定の下では擬有限点は高々1つでありその座標が(1:0:0)であることを示した。以上より点(1:0:0)が擬有限点であることとヤコビアン予想が正しいことは同値であることがわかる。さらに同点が擬有限点であるための位相幾何学的、代数的種々の条件を得ることができた。これらの結果は大阪アメリカ、インド、台湾等20年度後半期に開かれた開代数幾何学の種々の国際会議、ワークショップ、シンポジウム等で発表されている。
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Research Products
(4 results)