2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540081
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長友 康行 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (10266075)
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Keywords | モジュライ空間 / ベクトル束 / 調和写像 / 表現論 / 反自己双対接続 / リー群 / 対称空間 / 等径関数 |
Research Abstract |
昨年度までに、ベクトル束とその特別な性質を持つ切断を利用して、対称空間上に組織的に等径関数を構成することに成功していたが、今年度はさらにラドン変換を定義して、これらの関数が球面上の等径関数に変換されることを示した。球面上の等径関数はよく研究されている対象であるが、このような関係が存在することを指摘したのは本研究が初めてである。これらに関する結果はすでに論文としてまとめられ、投稿中である。また、これから派生して、球面上の等径関数が、不変接続とも関連があることが理解できたので、これに関しても論文を作成する予定である。 次にリーマン多様体からグラスマン多様体への調和写像に関する一般化された高橋の定理を利用して、複素射影空間から複素射影空間への調和写像に関する結果を得た。第一に、複素射影直線から複素射影空間への定エネルギー密度関数をもつ調和写像は標準的なものに限るという板東-大仁田の定理の別証明を得た。次に複素射影空間から複素射影空間への定エネルギー密度関数をもつ正則写像は標準的なものに限るという結果を得た。これはCalabiによる結果の一部であるが、やはり別証明を与えている。最後に複素射影空間から複素射影空間への定エネルギー密度関数をもつ調和写像に関して、この写像が複素直線束の標準的な接続を保つならば、Tothの定義した多項式写像といわれる調和写像になることを示すことができた。この結果は、Tothにおいては若干人工的ではあるが、論理展開のためには必要不可欠である多項式写像といわれる対象が、自然なものであることを示している。さらにTothの結果を利用すれば、前記二つの「剛性定理」とは異なり、モジュライ空間の存在を示すこともできる。これらの結果は現在執筆中の論文にまとめられている。
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Research Products
(11 results)