2010 Fiscal Year Annual Research Report
実用問題を考慮した弾性波動場における係数同定逆問題に対する数値解法
Project/Area Number |
20540104
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
代田 健二 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90302322)
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Keywords | 数値計算 / 欠陥同定 / 係数同定 / 周波数データ / 実測データ / Tikhonov正則化法 / モデル化誤差 / 射影勾配法 |
Research Abstract |
本年度は,「実測周波数データを用いた鉄とコンクリートによる合成梁の欠陥同定問題に対する数値解法の研究」を中心に実施した. 「鉄とコンクリートによる合成梁の欠陥同定問題」とは,鉄とコンクリートによる合成梁の接合部欠陥同定問題のことであり,その問題は接合部における剛性係数同定問題へと帰着される.本研究では,未知の接合部剛性係数関数を周波数データを用いて同定し,それにより合成梁の接触部欠陥部分とその欠陥度合いを求める「非破壊検査手法開発」を目的としており,イタリア・ウディネ大学Antonino Morassi教授,北海道大学大学院中村玄教授,神保秀一教授との国際共同研究である.本年度において研究代表者は,実測データを用いた数値実験の実施,および実験結果による数値解法の改良を実施した.まずMorassi教授の研究室で実施した実験により得られた実測周波数データと,昨年度までの成果である同定計算プログラムを用いて数値実験を実施した.しかし,実測データには測定誤差のみならずモデル化誤差も含まれているため,昨年度までの手法では欠陥位置および度合いを同定することができなかった.そのため,先行実験研究によるモデル化誤差基礎研究,昨年度までの成果,およびTikhonov正則化法の適用により修正コスト汎関数を導出し,その汎関数へ射影勾配法を基礎とした反復法を適用した修正アルゴリズムを考案した.そのアルゴリズムにより,実測データを用いた数値実験を再度実施し,接合部軸剛性係数の同定精度を向上させることに成功した.一方,接合部ずり剛性係数については,ある程度までは同定精度を向上させることができたものの,実用上満足できるレベルまでには到らず,今後さらなる改良が必要なことが明らかになった.これらの成果については,国内外の学会で発表するとともに,まとめた論文を国際逆問題関連学術誌へと投稿した(現在,修正稿が審査中である).
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Research Products
(4 results)