2008 Fiscal Year Annual Research Report
双曲型境界制御系の安定化と減衰率評価に関する理論的・数値実験的研究
Project/Area Number |
20540123
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐野 英樹 Kagoshima University, 学術情報基盤センター, 准教授 (70278737)
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Keywords | 双曲型システム / 境界制御 / 安定化 / 半群 / 天井クレーン / 有限差分モデル / デスクリプタシステム / LQレギュレータ |
Research Abstract |
平成20年度は,台車の質量を無視した二つの荷物を有する天井クレーンの制振制御を取り上げた.ケーブルの部分は張力が場所によって異なるため,空間変数に依存した係数をもつ波動方程式で記述される.一方,荷物の部分はニュートンの運動方程式により,常微分方程式で記述される.台車の変位と速度に関する情報をフィードバックする制御則を構成することにより,系全体を漸近安定化できることがSano&Otanaka(2006年)の中で半群理論を用いて証明されているが,荷物の揺れ並びにケーブルの振動をより速く抑えるためには何らかの方法で制御則に含まれるパラメータを最適化する必要がある.平成20年度は,波動方程式を有限差分近似したモデルに基づく方法で制御則に含まれるパラメータの最適化を行った.Sano(2006年)の中ではケーブルが振動しないと仮定した単純なモデルを用いて制御則に含まれるパラメータを最適化したが,今回は有限差分モデルに基づく手法をとったため,モデルの次数は大きくなったものの,より最適なパラメータの決定法を提案できた.実際にSano(2006年)の数値例と同じ係数の値を有する二次評価関数を用いて数値実験を行ったところ,二つの荷物の揺れがより速く収まることが確認できた.ただし,制御則が組み込まれた閉ループ系が指数安定になり得るかどうかの問題は未解決のまま残されている.
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