2010 Fiscal Year Annual Research Report
双曲型境界制御系の安定化と減衰率評価に関する理論的・数値実験的研究
Project/Area Number |
20540123
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐野 英樹 神戸大学, 大学院・システム情報学研究科, 准教授 (70278737)
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Keywords | 双曲型システム / 放物型システム / 境界制御 / 境界観測 / 安定化 / 半群 / 並流型熱交換方程式 / プラグフロー反応方程式 |
Research Abstract |
平成22年度は,はじめに,分布入力を有する並流型二層流熱交換プロセスを取り上げ,エネルギーを速やかにゼロに収束させるための制御法について考察した.このモデルは二つの1階双曲型偏微分方程式によって記述される.まず,固定ゲインをもつ出力フィードバック系を記述する半群がspectrum determined growth conditionを満たすことを示し,その後にエネルギー関数を定義して,それが速やかにゼロに収束するようにフィードバックゲインを切替える手法を提案した.ゲインを大きくすると閉ループ系が不安定になるが,不安定な閉ループ系を切替える状況になっても,系全体が安定化されるという興味深い結果を得た.つぎに,境界制御・境界観測を伴うプラグフロー反応プロセスの有限次元コントローラによる安定化問題を扱った.このモデルは元々,二つの1階双曲型偏微分方程式によって記述されるものであったが,拡散の影響まで考慮した,より実状に合った放物型モデルに対して,residual mode filterを用いた有限次元安定化コントローラの設計法を与えた.この結果は,境界制御・分布観測を伴う場合の結果(Sano & Nakagiri, 2010年)を一般化するものになりている.また,数値実験を通してコントローラの有効性を検証した.最後に,境界制御・境界観測を伴う上記の放物型モデルに対し,バックステッピング法を用いた無限次元安定化コントローラの構成法について考察した.二つの状態変数の線形結合によって新しい変数を導入することにより,カップリングしない二つのサブシステムに分離できる.ここで,漸近安定でないサブシステムに対して構成されたバックステッピングコントローラとバックステッピングオブザーバからなる無限次元コントローラが,系全体に対して安定化コントローラとして働くことを示した
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