2010 Fiscal Year Annual Research Report
Chaitinの停止確率Ωの一般化がもたらす量子測定に対する不完全性定理の研究
Project/Area Number |
20540134
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
只木 孝太郎 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70407881)
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Keywords | ChaitinのΩ / ランダムネス / アルゴリズム的情報理論 / 統計力学 / 情報理論 / 不完全性定理 / 量子論基礎 / 不動点定理 |
Research Abstract |
私は、Chaitinらによって創始されたアルゴリズム的情報理論を拡張して、量子力学に適用し、量子測定に関するゲーデルの不完全性定理を導出しようと試みている。本研究課題は、この全体構想の一環であり、平成20・21年度と同様に、本年度も、平成19年に私が導入したアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈(以下、“統計力学的解釈”と略す)を大々的に活用して研究を進めた。この統計力学的解釈を実際の物理系で実現することは、量子測定に関するゲーデルの不完全性定理を導出したこととほとんど同値であり、その実現を目的として、統計力学的解釈の理解を深めるために研究を進め、主な業績として、以下の成果を得た。 1. 統計力学的解釈では、温度T=1で相転移が起こる。計算可能性の理論の中で、計算量理論的な議論を行うことにより、この相転移の構造を解明した。その成果を国際会議LCR10などで発表した。 2. ChaitinのΩは、ある種の万能チューリング機械であるuniversal prefix-free machineが停止する確率として定義される。ChaitinのΩの理解を深めるため、universal prefix-free machineのfiberの構造を調べ、一連の成果を国際会議ITW2010Dublin, CCA-CCR2011で逐次発表した。 3. Caludeらは、統計力学的解釈の温度Tに依存するT-universal prefix-free machineの概念を導入した。私は、このT-universal prefix-free machineに基づいて定義される自己相似図形のHausdorff次元について研究を進め、次元の計算を行い、その成果を国際会議ISIT2010で発表した。 4. 圧縮可能な有限2進列に基づいて定義される新しいChaitinのΩを導入し、その性質を調べ、統計力学的解釈との関係を明らかにした。一連の成果は国際会議UC2010,CCA-CCR2011で発表した。
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Research Products
(22 results)