2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540151
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
千原 浩之 Kagoshima University, 大学院・理工学研究科, 教授 (70273068)
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Keywords | 擬微分作用素 / 幾何解析 / Bargmann変換 / Segal-Bargmann空間 / Berezin-Toeplitz作用素 / Schrodinger写像 / 分散型偏微分方程式 / 初期値問題 |
Research Abstract |
今年度に成果の得られた研究 小野寺栄治氏(九大数理)と共同で以下の成果を得た.渦糸運動や古典スピン系等の運動を記述する古典力学モデルは,ユークリッド空間上の球面値関数のみたす分散型偏微分方程式として定式化される.この10年あまりの間に,この種の偏微分方程式を,多様体の間の写像流を記述する偏微分方程式として幾何学的に一般化して,方程式の構造や解の存在や時間大域的延長可能性や長時間挙動等が定義域や値域の多様体の幾何学的設定とどのような関係にあるのかが比較的よく研究されている.昨年度の筆者の研究成果である閉リーマン多様体からコンパクト概エルミートへのシュレーディンガー写像の初期値問題の解法の研究成果を基盤にして,今年度は,コンパクト・ケーラー多様体上の曲線運動を記述する4階分散型偏微分方程式の初期値問題について考察した.この方程式も古典力学モデルの一般化であり,古典力学モデルの初期値問題は強い制約の下でのみ解の時間局所解の存在定理が得られている.我々の得た結果は,単に値域を一般化したのみならず,従来の古典力学モデルでの制約を全て排除した上で,時間局所解が構成できるというものである.方程式が高階であるための困難がいくつかあるので,現在解の一意性の証明にようやく目処が立ったところである.この研究は,可積分系理論等も考慮して解の時間大域的延長可能性まで十分考察した上で,論文にまとめて投稿したい. その他 多様体の間のディラックー調和写像などの幾何解析は,この幾何学的設定と幾何解析の両方に慣れている研究者が少ないのか,あまり研究されていない.そこで,この種の問題に新規参入するための準備を行った.できれば次年度以後に研究に着手したい.
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Research Products
(7 results)