2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540171
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
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Keywords | 自己共役作用素 / 自己共役拡大 / 位相因子 / 境界条件 / アハラノフ・ボーム位相 / 回路量子電磁気学 / 強結合領域 / 超強結合領域 |
Research Abstract |
今年度は、非ユークリッド空間上の量子力学に関しては、1次元空間に接合を入れる事で接合に特異点が集中したという想定で1次元空間を非ユークリッド化し、その空間上を運動する電子などの自由粒子を非相対論的に考察した。この設定で問題となるのは、接合の境界条件である。この物理系のエネルギー作用素(ハミルトニアン)が観測量となるためには、ハミルトニアンが数学として自己共役作用素になる必要があるが、この自己共役作用素となるための必要十分条件として、境界条件の対応がある事はよく知られている。上記物理系の数学的設定は、ハミルトニアンに最小定義域を与えておき、そこからの自己共役作用素への拡張(自己共役拡張)を調べたが、今まで知られている事実は、自己共役作用素となるための十分条件としての境界条件に位相因子が現れないもののみであった。正確には、接合を特異点のみとし位相因子出現の可能性を指摘したExner-Grosseの結果があったが、未発表となっていた。そこで、将来アハラノフ・ボーム位相と絡めて量子デバイス構築の数学的基礎の構築を睨んだとき、「境界条件に位相因子が現れる、自己共役作用素となる十分条件はあるのか?もしあるとしたらどのような物理的・数学的状況の下か?」と言う問題に取り組んだ。この問題に対し、肯定的結論とその状況を把握する事に成功し、その結果をIOPが出版している物理の雑誌のアハラノフ・ボーム効果発見50周年&ベリー位相発見25周年を記念する号に投稿し採択され発表することができた。 場の量子論に関した特異性に関しては、回路量子電磁気学を扱い、強結合領域と超強結合領域の間の特異性に注目し、前者から後者へ移る過程で、ハミルトニアンの持つカイラル性がいかに重要でどのような役割を基底状態で演じるかを明らかにした。
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Research Products
(3 results)