2008 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン面の接続と粘性流体の力学〜等角的埋め込みと随伴するポアズイユ流の研究
Project/Area Number |
20540174
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柴 雅和 Hiroshima University, 工学研究科, 名誉教授 (70025469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅明 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10116535)
幡谷 泰史 山口大学, 理工学研究科, 助教 (20294621)
米谷 文男 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10029340)
前川 博 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (90145459)
増本 誠 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50173761)
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Keywords | 双曲的距離 / ナヴィェ・ストーク方程式 / リーマン面の接続 / ポアズイユ流 / 粘性流体の定常的な流れ |
Research Abstract |
本年度の具体的な目標として設定した最も重要なものは,リーマン面の等角的埋め込みから生じるポアズイユ流の粘性係数を決定すること,しかも複素解析的な見方と手法によって研究すること,であった,これはユークリッド的な意味では完全に解決することができた.その成果についての発表を,アメリカ合衆国で開催された「非線形解析学者の世界会議」において行った.この研究集会では,類似のテーマに関心を寄せる諸外国の研究者と議論の機会が得られたこともまた,有意義であった.ユークリッド的な結果に加えてさらにその後のより複素解析的立場からの考察と予想と追加した内容の講演を,12月に東京で開かれた「ポテンシャル論に関する国際ワークショップ」において行った.ここでもまた内外の研究者との討論の機会に恵まれ,その後の研究にもよい示唆が得られた.私たちの問題は,複素解析的な考察によって,非ユークリッド的な意味をもつ問題へと,すなわちポアンカレ距離を付与された実3次元の上半空間における粘性流を考察する問題へと発展しつつある.これは研究課題の提出時から想定していた問題であって,本研究課題の長期的な主目標の1つであるが,今年度後半にはこの問題について新たな知見が得られた.そこでは,複素解析的な考察のほかに数式処理的な考察もまたきわめて有効であった.同時に,これまで偏微分方程式論,幾何学,流体物理学などで考察されてきたナビェ・ストークスの方程式に対するより根源的な考察の手がかりを得ることができた.今年度はプロジェクトの初年度であることもあって,成果の大半は講演など口頭による発表で,それらの多くは論文の形での発表には至っていない.今後の展開が期待される.
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