2010 Fiscal Year Annual Research Report
非可換調和解析における特異積分作用素論ー実ハーディ空間の有効性の検証
Project/Area Number |
20540188
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河添 健 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (90152959)
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Keywords | 実Hardy空間 / アトム分解 / 離散ラドン変換 / Dunkl解析 / Besov空間 |
Research Abstract |
本年度の成果としては 1)ヤコビ解析における実Hardy空間のアトム分解の精密化 2)離散ラドン変換における実Hardy空間の導入とその特徴付け 3)Dunkl変換におけるBesov空間の有効性 4)Miyachi型不確定性定理の拡張などが挙げられる。このうち1),2)は当初の研究目的に基づくものであり、3),4)は関連する話題として研究の途中に得られた成果である。1)は昨年度に得られた実Hardy空間のアトム分解を精密化するもので、今後のテーマとする補間定理の構築に必要な成果である。本年度中に補間定理まで構築する予定であったが、関数の分解に関する難点が見つかった。ヤコビ解析における補間定理の構築は継続研究課題とする。2)は実Hardy空間の理論が多くの対象で成り立つことを示すものである。動径最大関数を導入する際に、いかに膨張変換を定義するかが課題であったが、連続関数の膨張変換の離散化を用いることにより解決した。離散空間における実Hardy空間は今後の離散ラドン変換の理論の発展へ寄与するものと思われる。3)は本研究の目的の1つに掲げていた実Hardy空間の偏微分方程式論への応用を調べる過程で得られた成果である。古典的な理論がどの程度まで拡張できるかを調べる過程で、Dunkl解析までは類似の拡張が得られることが分かった。今後はこの成果を拡張してヤコビ解析の場合を考えてみたい。しかしながら空間の非等質性により困難が予想される。4)も同様で古典的な理論をヤコビ解析へ拡張する過程において、古典の場合の理論の精密化とDunkl解析への拡張を行ったものである。次年度はこれらの成果を踏まえて、ヤコビ変換の場合の補間定理と偏微分方程式論への応用を研究課題とする。
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