2009 Fiscal Year Annual Research Report
新世代硬X線全天サーベイによる埋もれた活動銀河の構造と進化の研究
Project/Area Number |
20540230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 佳宏 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10290876)
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Keywords | 活動銀河核 / ブラックホール / X線 |
Research Abstract |
Swift BATサーベイの「すざく」衛星によるX線追求観測をすすめ、その結果を2本の論文として出版した(Eguchi, Ueda et al.2009, Winter et al.2009)。最初の論文は、Swift BATサーベイで見つかった新しい活動銀河核(AGN)6天体を「すざく」で観測し、系統的なスペクトルフィットを行なったものである。その結果、これらのAGNは「反射成分が強く、散乱成分の弱い」3天体と、「反射成分が弱く、散乱成分の強い」3天体の2つのグループに分かれることが判明した。前者は、幾何学的に厚いトーラスに深く埋もれた「新タイプ」AGNに相当する。これらは、AGNのトーラス構造が単純でなく、その統一理解に新たな視点が必要であることを示した重要な結果となった。いっぽう後者の論文は、未観測の隠されたAGN 5天体の「すざく」による観測をまとめたものであり、非常に吸収の大きな「コンプトン厚AGN」の存在量が近傍宇宙において予想外に少ないことを示唆する結果を得た。また、Swift BATサーベイと相補的に、XMMニュートン衛星のX線公開カタログを用いて、新たな隠されたAGNのサンプルを構築し、そのX線および可視分光観測結果をまとめた論文を発表した(Noguchi et al.2010)。全天X線監視装置(MAXI)の打ち上げ後、機上データを用いた校正を行ない、特にイメージ応答関数の作成や非X線バックグラウンドの時間変動の調査を進めた。MAXIの概要や期待される性能をまとめた論文を発表した(Matsuoka et al.2009)。また、すばる-XMMニュートンディープサーベイ(SXDS)計画のX線追加観測を提案するための打ち合せをドイツ・マックスプランク研究所にて行なった。
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