2009 Fiscal Year Annual Research Report
TeVガンマ線連星系における衝突恒星風モデルと降着モデルの評価
Project/Area Number |
20540236
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
岡崎 敦男 Hokkai-Gakuen University, 工学部, 教授 (00185414)
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Keywords | 理論天文学 / ガンマ線天文学 / 大質量連星系 / 数値シミュレーション / 恒星風 / 高エネルギー放 |
Research Abstract |
超高エネルギーガンマ線(TeVガンマ線)を放射する連星系の示す複雑な活動性の起源を統一的に理解するために、性質の異なる3つのTeVガンマ線連星系に対して、衝突恒星風モデルと降着モデルに基づく3次元数値シミュレーションを行った。主な結果は次の通り。 1. PSR B1259-63(Be星と中性子星の連星系。周期3.4年、離心率0.87) パルサー風、Be星からの恒星風、およびBe星ガス円盤の三者すべてを取り入れた3次元SPH (Smoothed Particle Hydrodynamics)シミュレーションを行い、近星点前後約100日にわたる系の振る舞いを調べた。その結果、近星点付近では、(1)パルサー風はBe星恒風を圧倒すること、(2)パルサー風はBe星ガス円盤の外部領域を吹き飛ばし、Be星ガス円盤の内部領域に対しても大きな摂動を与えることがわかった。 2. LSI+61 303(Be星と中性子星かブラックホールの連星系。周期26.5日、離心率0.537) 軌道の離心率として従来の値(0.72)よりもかなり小さい値(0.537)が報告されたことを受け、降着モデルのシミュレーションをやり直した。得られた結果は、定性的には以前の離心率0.72の場合と同じだが、定量的には降着率が小さくなるなどの違いがあった。 3. LS 5039(O型星と中性子星かブラックホールの連星系。周期3.9日、離心率0.35) 放射による恒星風の加速の簡単なモデルを取り入れ、降着モデル(0型星恒星風のブラックホールへの降着)の3次元シミュレーションを実施した。その結果、(1)ブラックホールの降着率は解析解と良い一致を示すこと、(2)一般的な大質量星の恒星風の観測にあう速度分布を与えた場合には、得られる降着率はマイクロクェーサーモデルと矛盾しないことがわかった。
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