2010 Fiscal Year Annual Research Report
中質量領域中性子過剰原子核に現れるダイニュートロン相関とエキゾチック集団励起
Project/Area Number |
20540259
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Keywords | ダイニュートロン相関 / 中性子対移行 / 対振動状態 / 連続状態ハートレー=フォック=ボゴリュボフ理論 / 中性子ドリップライン核 / 対相関 |
Research Abstract |
中質量中性子過剰同位体の代表例としてSn同位体とその近傍核種を対象にSkyrme-Hartree-Fock-Bogoliubov理論および連続状態QRPA理論研究による以下の研究を行った。 1.ダイニュートロン相関の表れとしての短距離相関および対移行行列要素の研究 (1)前年度までの研究により、中性子過剰原子核における特徴的な対相関が対移行行列要素に顕著に反映されることを見出した。本年度、四重極振動に附随する対移行の分析を完成して発表した。さらに、単極型の対移行について、対遷移強度の空間構造、対有効相互作用への依存性、中性子数依存性を系統的に分析し、N=82魔法数を超えた中性子過剰同位体である^<132>Sn-^<140>Snに現れる「異常な対振動状態」の特質や発現機構を解明した。 (2)中性子クーパー対における空間相関について、^<142>Snを代表例に分析を行った。原子核の有限サイズ効果からの一定の空間相関が現れるが、2fm以内の近接相関については対相関が本質的であることを明らかにした。 2.連続状態Skyrme-HFB模型を用いてN=86同調体^<136>Sn-^<128>Moにおける弱束縛中性子の準粒子スペクトルと対相関への寄与を分析した。遠心力バリアが小さく波動関数の広がりの効果が大きいと予想される弱束縛3p軌道が、連続状態と結合して準粒子共鳴を形成する機構に注目し、共鳴幅の増大に対相関効果が大きいことを明らかにした。さらに、このような幅の広い共鳴準粒子状態であっても対相関への寄与が大きくなるという、既出論文とは異なる結果を導くとともに、ドリップライン近傍中性子過剰核における対相関の特徴を明らかにした。
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