2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁場をもつ連星中性子星の準平衡状態と数値相対論の初期データ
Project/Area Number |
20540275
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
瓜生 康史 琉球大学, 理学部, 准教授 (40457693)
|
Keywords | 相対論的宇宙物理学 / 数値相対論 / 重力波 / 連星中性子星 / 中性子星磁場 / ブラックホールー中性子星連星 / 高速回転星 / 高密度物質の状態方程式 |
Research Abstract |
本研究では,磁場の効果を取り入れた連星高密度星や高速回転中性子星の準平衡状態を求めるための定式化と数値計算コードの開発を行ってきた。本年度の研究で,磁場を持つ軸対称定常回転中性子星についての従来の定式化を拡張し,微分形式を用いた共変的な形で導くことに成功した。これは,ブラックホールや星の磁気圏を研究する際に利用されるGrad-Shafranov方程式や,星の子午面流の式などを特別な場合として含む最も一般的な定式化である。この論文を,Eric Gourgoulhon氏(仏CNRS研究員,パリ天文台),Harris Markakis氏(ウィスコンシン大ミルウォーキー),江里口良治氏(東大)との共同執筆し現在投稿中である。また本年度より数値計算コードCocal (Compact Object CALculator)の開発に参加したAntonios Tsokaros氏(ギリシャ,エーゲ大)との共同研究で,連星ブラックホールの初期データを計算するためのサブルーチンを開発した。また,琉球大学の学生も参加して複数の極座標格子上でポアソン方程式とヘルムホルツ方程式を解くためのサブルーチンも開発した。これにより非等質量連星の重力場を重力波成分も含めて計算するための基本的なサブルーチンが整備された。これらの結果を含むCocalコードのテスト計算をまとめた論文を現在執筆中である。この他に,Noriyuki Sugiyama氏(ウィスコンシン大ミルウォーキー)と3軸不等な高回転中性子星のモデルを系統的に計算し,原始中性子星進化のモデルに応用することを試みている。最後に3月にパリ天文台を2週間訪問しGourgoulhon氏らと今後の共同研究の新たなテーマについて打ち合わせを行った。また,2010年3月中旬に開催したワークショップ「高密度天体の物理学」の集録を本研究費を利用して出版した(http://ea.c.u-tokyo.ac.jp/compactstar10.html)。
|
Research Products
(8 results)