2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540294
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伏見 賢一 The University of Tokushima, 総合科学部, 准教授 (90274191)
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Keywords | 宇宙暗黒物質探索 / 放射線検出器開発 |
Research Abstract |
1.宇宙暗黒物質探索のために使用する薄型NaI(T1)シンチレーターを二枚制作してその性能を調べた。性能評価のポイントは (A)エネルギー分解能60keVのエネルギー領域で半値全巾が20%以下であること。 (B)位置情報を測定できること。 である。これらの性能について、光電子増倍管を整備して測定を実施した。 エネルギー分解能の測定は241Am、137Baによる低エネルギー領域の蛍光スペクトル、および22Na、137Cs、60Coによる高エネルギー領域の蛍光スペクトルを測定した。その結果、60keV領域では20%以下の半値全巾、662keVでは9%以下の半値全巾を得ることができた。この性能は特殊な形状の検出器であるにもかかわらず、通常の形状を持つ検出器を同等の性能を示したことで非常に有望な結果となった。 2.大塔コスモ観測所への設置 テスト測定を平成20年6月〜8月に大塔コスモ観測所にて実施した。その結果、検出器周辺の部材に含まれる放射性不純物によるバックグラウンドでスペクトルを完全に説明することができた。この結果をもとに周辺部材の素材を選別した装置を平成21年2月〜3月にかけて大塔コスモ観測所に設置して測定した。その結果、バックグラウンドが3桁以上低下し、期待される性能を得ることができた。 低エネルギー領域(10OkeV)近辺では、10/day/kg/keV程度になった。今回の装置で除去できなかった部分を考慮すると、予定していた性能を満たしていることが明らかになった。 二枚の結晶を重ねて測定することで、γ線の同時計数を実施することができるようになった。この際に重要な影響を与える、検出器間のクロストークは0.3%であることが解析から明らかになった。この性能は、γ線の同時計数に重大な障害となるクロストークが無視できるという非常に有望な成果となった。
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