2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁束量子ビットの単一および結合系の回路形式の比較研究
Project/Area Number |
20540312
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
島津 佳弘 Yokohama National University, 工学研究院, 准教授 (70235612)
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Keywords | 量子ビット / ジョセフソン接合 / 量子コンピュータ / 量子コヒーレンス / メゾスコピック系 / エネルギー分光 / 超伝導素子 |
Research Abstract |
ジョセフソン接合で構成される磁束量子ビットの基本型である3接合磁束量子ビットの発展型として知られている4接合磁束量子ビットは、動作最適点でのエネルギーギャップをその場制御できるために、制御性に優れた量子ビット系となると期待されている。昨年度に引き続き、主としてこの系についてエネルギー分光測定を中心として研究を行った。ひとつの試料において、エネルギーを周波数に換算して表すとき、15GHzを超えるエネルギーギャップの制御範囲を実現した。この結果は、同種の量子ビットにおいておそらく現時点で世界最高の制御範囲であり、量子ビットとしてのいろいろな応用において有利な、優れた性能をもつ系が実現できたものと考えられる。次年度に、得られた実験結果の定量的解析を更に進める計画である。昨年度までにこの系で観測されたレベル分裂現象も、過去には観測されていない実験結果であり、低エネルギー領域で3個以上の量子状態を容易に実現できることを明確に示した点で、非常に意義のある結果である。この現象の出現条件および物理的機構を解明するために、試料パラメータの異なるいくつかの試料で実験し、われわれが昨年度までに考案した物理的機構を示唆する結果がこれまでに得られている。しかしながら、この物理的機構の確証を得るためには、さらに実験的研究が必要であるので、来年度も試料パラメータの異なる4接合および3接合磁束量子ビットのエネルギー分光特性の研究を続行する予定である。また、これらの量子状態を実時間で制御することが次年度以後の重要な課題である。多層電子線リソグラフィーによる試料作製条件を調査した結果、制御電流によるヒーティングの低減や、DC-SQUIDのシャントキャパシタの作製に成功した。次年度に、シャントキャパシタを付加した試料と、これまでに測定してきたそれのない試料のコヒーレンス時間を測定し、比較を行う計画である。
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Research Products
(7 results)