2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540317
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
町田 光男 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (40201769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 正明 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (80235499)
馬込 栄輔 東京理科大学, 理学部, 助教 (40408696)
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Keywords | プロトントンネリング / 水素結合 / 同位体効果 / 相転移 / 誘電体 |
Research Abstract |
水素結合が関与する構造相転移を示す水素結合型誘電体において、水素結合の軽水素(プロトン)を重水素(デューテロン)で置換すると、転移温度(T_c)が顕著に上昇する。また、低温相でプロトンオーダーに伴って強誘電性などの物理的性質を示す。水素結合型誘電体の同位体効果と相転移の機構を理解するため、プロトントンネリングの検証、自発分極の起源について調べた。 (1) KHCO_3、KDCO_3の核分布密度を精密に決定するために、マキシマムエントロピー(MEM)による解析を行った。その結果、デューテロンの核分布において、2つの平衡位置に対応するピークが明瞭に現れるのに対し、プロトンではピークは不明瞭になっていることが確認された。これはプロトンとデューテロンのトンネリングの相異によるものである。 (2) KH3(SeO4)2の高温相の中性子回折強度の測定を東大物性研のFONDERを用いて行い、MEMによる解析を行った。その結果、プロトンが高温相で不秩序状態であることが明確に確認することができた。 (3) KH3(SeO3)2、KD3(SeO3)2のNMRの測定を平成20年度から継続して行った。今年度の測定は、100Kから350Kの温度範囲で、単結晶試料に対して行った。測定する核はプロトン、デーユテロンである。KH3(SeO4)2のH核のスピン格子緩和時間T_1は転移転に向かって温度依存が散漫になるという結果が得られた。D核のT_1もこのような変化を示すがH核のT_1よりも僅かであることが分かった。
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Research Products
(6 results)