2009 Fiscal Year Annual Research Report
希土類硫化物における異常磁気相転移と付随する伝導異常の機構解明
Project/Area Number |
20540329
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
戎 修二 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (10250523)
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Keywords | 希土類硫化物 / 単結晶 / 磁気相転移 / 異常磁気伝導 / 磁気抵抗効果 / 圧力効果 / 強磁場磁化過程 / 強磁場中冷却 |
Research Abstract |
1.高圧力下の磁化および伝導測定 高圧力下の磁化および電気抵抗の測定から、α-R_2S_3(R=Gd,Tb)の反強磁性相関が圧力により強められることが判明し、α-Dy_2S_3では高温側の弱強磁性と反強磁性の転移温度が低温側に同じ圧力依存性でシフトし、両磁気転移が協力的に起こっていることが推論された。また低温側の反強磁性転移も低温側にシフトして弱強磁性領域が拡大したが、電気抵抗の異常増大は異なる圧力依存性を示し、反強磁性リエントラント転移は電気抵抗の急減に、直接的な影響を及ぼしていないことが分かった。α-Sm_2S_3においては、磁化と伝導の異常がほとんど圧力の影響を受けないのに対して、高温領域における電気抵抗は圧力で明瞭に減少し、伝導機構がある温度を境に変化していることが推論された。 2.混晶系希土類硫化物の合成と磁性 α-Gd_2S_3型結晶構造を有する数種の新規混晶系硫化物R_<2-x>R'_xS_3の粉末試料合成に成功したが、単結晶育成には至らなかった。また、狙いとした異種元素の選択的なサイト占有が実現した硫化物は得られていない。非磁性希土類元素での希釈は急速に長距離磁気秩序を阻害し、磁性希土類元素同士の対等比混合では、転移温度が減少するものの長距離磁気秩序が維持されることが確認された。 3.異常磁気相転移と伝導異常に関する物性の精査 α-Dy_2S_3の磁化および電気抵抗の精査から、粉末試料では高温側の磁気転移が見られず、電気抵抗の異常増大も起こらないことが分かった。平成22年度は、この点を詳細に調べ、単結晶の場合のみに起こる繊細な磁気転移という観点からの機構解明につとめる。 4.強磁場磁化過程の測定 α-Dy_2S_3を18Tの強磁場中で冷却することにより、磁化過程において磁場の昇降に対して非常に幅の広いヒステリシスが誘起されることを発見した。
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Research Products
(8 results)