2009 Fiscal Year Annual Research Report
片側13C置換によるTMTSF塩の異常な超伝導状態におけるNMR
Project/Area Number |
20540338
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河本 充司 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (60251691)
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Keywords | NMR / TMTSF / 13C / 超伝導 / SDW |
Research Abstract |
近年、超伝導臨界磁場が、そのパウリ限界を超える超伝導体が重い電子系で報告されている。その代表的なものとして三重項超伝導が実現されているといわれるSr_2RuO_4や、超電導の秩序変数が、空間的に変調するFFLO状態が実現されているといわれるCeCoIn_5などが挙げられる。これらの物質の発見は、理論的研究を刺激し数多くの重要な知見、予測を引き出した。パウリ限界を超える超伝導体は現時点の物性物理学の最大のトピックスの1つである。 有機超伝導体でもパウリ限界をこえる臨界磁場をもつ物質がいくつか報告されている。代表的なものとして(TMTSF)_2X(X=PF_6,ClO_4)塩がある。Brownらによる^<77>SeのKnight shiftの測定よりスピン帯磁率が超伝導状態で減少しないことにより三重項超伝導の可能性が指摘されこの系に対する理論的な研究が活発になされている。しかし、近年Jeromeらの測定により三重項超伝導に関して疑念もつ結果も報告されている。現状は、実験結果が混沌とした中で理論が先に走っている状況である。この問題にアプローチするために分子の特定の位置を^<13>Cに置換した分子を作成して^<13>C-NMRを計画した。昨年度で分子の合成に成功し、本年度は、実際に(TMTSF)_2X(X=PF_6,ClO_4)塩の大型単結晶の作成し常圧にてNMRの測定を行った。その結果、従来からの未解決の問題であったSDW相内のサブフェーズについて、野村らが主張したディスコメンシュレートな構造をとっていることをNMRのスペクトルから明らかにすることができた
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Research Products
(3 results)