2010 Fiscal Year Annual Research Report
特異なバンド構造と電子相関の協力効果による新奇量子伝導現象に関する理論的研究
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20540350
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
黒木 和彦 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (10242091)
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Keywords | バンド構造 / 電子相関 / 超伝導 / 熱電効果 / 層状窒化物 / 酸化物 / 鉄ニクタイド / 有機導体 |
Research Abstract |
(1)熱電効果 SrTiO_3の大きな熱起電力の起源について、第一原理バンド計算をもとにした研究を行い、バンド縮退の効果とバンド形状効果を議論した結果を論文にまとめた。また、K_xRhO_2の大きな熱電効果の起源をバンド形状と電子相関の観点から定量的に説明できることを示した。さらに、CaMnO_3の高スピン状態における大きな熱電効果の起源について、スピン偏極を考慮した第一原理計算を用いた解析を行った。 (2)層状窒化物超伝導体 層状窒化物超伝導体MNCl(M=Hf,Zr)においてこれまでの研究で提唱してきたd+id超伝導状態について、超流動密度を計算した。実験で観測されている超流動密度のキャリアードーピング依存性が理論的に理解できることを示した。 (3)銅酸化物高温超伝導体の臨界温度の物質依存性 銅酸化物のうち、一層系に分類されるLa_2CuO_4とHg_2BaCuO_4において臨界温度が大きく異なる起源を理解するために第一原理計算から構築した2軌道模型を導入した。軌道間のエネルギー差の違いによって、フェルミ面形状と臨界温度の物質依存性が理解できることを示した。 (4)鉄系超伝導 フェルミ面の3次元性が超伝導ギャップ構造に及ぼす効果、並びに、鉄-ヒ素-鉄の結合角がフェルミ面の枚数と臨界温度の高低に及ぼす影響を研究し、実験結果に対する理論的解釈を与えた。
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