2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540357
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西田 宗弘 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10329112)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 電荷密度波 / 物性理論 / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
本年度は、超伝導糸のフラクソン対の動力学を理解する上で重要な,下記1,2の研究を実施すると共に、巨視的な糸の量子性を検証する新しい方法(下記3)を考案した. 1.超伝導/強磁性/超伝導(SFS)伝送線路におけるフラクソンと磁壁の相互作用 SFS伝送線路のF層には一般に磁区構造が存在し,πフラクソン対の運動に影響を及ぼす可能性がある,そこで,フラクソンに伴う磁場とF層中の磁壁の相互作用を考慮する事により,フラクソンの重心座標に対するポテンシャルを求めた.結果として、磁化の方向によってフラクソンに対するポテンシャルの強さが大きく変化し,特定の状况下では,かなり強いポテンシャルを形成する事がわかった.磁化の法向は斜め蒸着の手法で実験的にコントロール出来,再配置可能な閉じ込めポテンシャルをフラクソンに対して導入可能と予想され,今後の発展が期待出来る. 2.1次元SQUID列におけるフラクソン対の交流駆動 周期ポテンシャル中の粒子は,時間平均ゼロの振動外場を加えるだけで一方向に並進運動する可能性がある.SQUID列中のフラクソン対が実際に交流電流によって並進運動する事を数値計算によって確認し,並進運動が起こる条件を明らかにした. 3.時間領域のGreenberger-Horne-Zeilinger(GHZ)試験の提案 「巨視的な物体は観測の有無に依らず決まった状態を取る」という巨視的実在論がどの程度のスケールまで適用可能かを調べる新しい方法を考案した.この方法は,これまでに提案されているLeggett-Garg不等式を検証する方法より少数回の観測で判定できるという利点を持つ.上記のフラクソン対は多数の電子によって形成される巨視的な実体であるため,この系で巨視的実在論が成立するか否かは重要な問題であり,その簡易な判定法を考案した事は意義深い.
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Research Products
(3 results)