2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540357
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西田 宗弘 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10329112)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 物性理論 / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
今年度は、今後の実験研究の舞台として有望と思われる「一次元超伝導量子干渉素子(SQUID)列中のフラクソン対」に注意を集中し、これまで考慮していなかったSQUIDの内部自由度による古典動力学への影響を検証した。結果として、ジョセフソン接合の特性が均一でない実際の実験状況下では、残念ながらこの内部自由度がフラクソン対の不安定性を引き起こし、有限の寿命を生む事が明らかとなった。そこで、状況設定を一部変更し、より有望な系の提案とその特性の検証の為に以下の研究を行った。 1.外部磁場を印加したSQUID列中のソリトン SQUID一個当たり磁束量子の半分の外部磁場を印加したSQUID列では、SQUIDの内部自由度を考慮した場合でも不安定化を起こさない条件で、ソリトン的な励起を作る事が可能であることを明らかにした。このソリトン励起は非常に質量の軽い相対論的な粒子として振る舞う事を示し、相対論的な量子力学を検証する系として有望である事を示した。 2.一次元ジョセフソン接合列における巨視的量子トンネル効果 1の系での量子ダイナミクスを議論する為の準備として、ジョセフソン接合列の巨視的量子トンネル効果に対する外部回路の影響について考察し、摂動論を用いた解析計算と数値計算の両面から検証する事により、先行研究の誤りを正した。また、非線形系での量子ダイナミクスの理解を深める為に、ボース・アインシュタイン凝縮系での非線形共鳴トンネル現象を考察し、実験による観測可能性に関して詳細な検討を行った。
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Research Products
(2 results)