2009 Fiscal Year Annual Research Report
長距離相互作用するスピン系の相転移とダイナミクスに関する研究
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20540364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤堂 眞治 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (10291337)
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Keywords | 長距離相互作用 / 磁気双極子相互作用 / モンテカルロ法 / 量子モンテカルロ法 / 相転移 / 臨界現象 / ランダムネス / 並列計算 |
Research Abstract |
スピン系における長距離相互作用は系の熱力学的状態や動力学的特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかしながら、スピン間の相互作用の数がスピン数の二乗に比例して増加するため、何らかの近似なしにシミュレーションを実行することはこれまで大変困難であった。我々は一般の長距離相互作用系に対するオーダーNのモンテカルロアルゴリズムを開発した。この方法では、相互作用のレンジ・系のサイズに依らず、定数時間で個々のスピンの状態更新を行うことができる。また、相互作用のカットオフ等の近似は一切用いておらず詳細釣合の条件を厳密に満たす。我々はこの方法を磁気双極子相互作用をもつフラストレート磁性体に適用し、その相転移の臨界現象を精密に調べた。また、これに関連して、格子とスピンの結合のある系に対する新しい量子モンテカルロ法、詳細釣合条件を用いない新しいモンテカルロアルゴリズム、量子エンタングルメントエントロピーの測定方法など、様々な新しい方法を開発した。さらにフラストレーションのある量子磁性体における負符号問題の解決に向けて、"nested-cluster loop algorithm"と呼ばれる新しいモンテカルロ法の有用性とその適用限界についても詳細に検討を行った。次世代スパコンなどの超並列計算機で効率的にシミュレーションを行うために量子モンテカルロ法のOpenMP+MPIハイブリッド並列化も進めた。
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Research Products
(7 results)