2010 Fiscal Year Annual Research Report
可解格子模型の無限次元対称性と有限サイズ量子多体系における様々な物理的応用
Project/Area Number |
20540365
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (70227544)
|
Keywords | 高次スピンXXZ鎖 / 量子可積分系 / 相関関数の多重積分表示 / Yrast状態 / 冷却原子系 / δ関数型相互作用ボソン系 / アファイン量子群 / スペクトル関数 |
Research Abstract |
1.可解な高次スピン量子XXZ鎖のギャップレス領域の相関関数の数値評価 スピン1のXXZ鎖の1点関数に対してその多重積分表示を導き、積分を解析的に計算して1点関数の解析的表式を得た。一方、スピン1のXXZハミルトニアンを数値的に対角化して基底状態固有ベクトルを求め、これを用いてスピン1の一点関数を数値的に求めた。両者を比較したところ、良い一致をみた。この結果は相関関数の多重積分表示の結果を裏付ける。 2.可解な高次スピン量子XXZ鎖のギャップ領域における相関関数の多重積分表示の導出 ギャップ領域において、可解な高次スピン量子XXZ鎖の相関関数の多重積分表示を厳密に導出した。基底状態を与えるストリング解を数値的に求めた。多重積分表示は楕円関数で表された。 3.アファイン量子群から導かれる様々な可解模型のR行列の導出および形状因子公式 可積分高次スピン量子XXZ鎖やqの1の冪根表現に対応する色つき模型など、アファイン量子群から導かれる可解模型のR行列を明示的に表すを与えた。さらにその模型の形状因子を、代数的ベーテ仮設法を用いて厳密に計算する方法を定式化した。 4.トーラスに閉じ込められた回転する冷却原子気体のYrast励起スペクトルの厳密な導出 トーラスに閉じ込められた冷却原子系を表す理論模型として、デルタ関数型の相互作用をするボース気体を考え、角運動量一定の状況での励起状態のスペクトルを研究した。与えられた角運動量を持つ最低エネルギーの固有状態をYrast状態とよび、与えられた角運動量を持つ励起状態をYrast励起状態と呼ぶ。有限サイズ効果の方法を適用して、Yrast励起状態を厳密に求めた。
|