2008 Fiscal Year Annual Research Report
低次元量子系の有限温度相関関数と量子エンタングルメントの完全WKB解析
Project/Area Number |
20540370
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 Shizuoka University, 理学部, 教授 (40222062)
|
Keywords | 完全WKB法 / 相関関数 / 量子・古典クロスオーバー / 密度行列 / 関数等式 |
Research Abstract |
1 有限温度相関関数に関する研究 ドイツ・ブッパタール大学のグループとの研究により定式化された量子スピン鎖の相関関数の評価法を定量的に評価して、任意の温度および磁場中の相関関数に対して、厳密な評価をおこなうことにより具体的に以下の結果を得た (1) 量子・古典クロスオーバーのクロスオーバー温度に対して精密な評価をおこなった。 これによりFabricius McCoyの有限スピン鎖に対する厳密対角化の結果が定性的に正当化することができた。 (2) 磁場中の「強磁性的」スピン鎖では温度に関して縦相関関数の振る舞いが単調でなく、「こぶ」のような構造がみえることを明らかにした。 これらの結果は、研究代表者によりPohang(2008年7月)およびFlorence(2008年9月)において発表され論文としてすでに出版された 2. 転送行列の満たす関数等式の研究 可積分な格子模型に付随する転送行列に関する関数等式を国場・中西氏との以前の共同研究により提案していた。一方、共形場理論の変形理論の文脈よりAl. B. Zamolodchikovによって与えられた知見によればこの関数等式を用いて転送行列の隠れた周期性を示せるはずであることが示唆される。 研究代表者は伊山・井上・国場・中西氏との共同研究により、近年表現論において中心的な課題の一つとなっているクラスター代数と上の関数等式との関連に注目し、様々な方法を用いて周期性の証明をあたえた。この論文は現在投稿中である。 また本年度に前倒しして国際集会「Aspects of Quantum Integrability」を京都大学基礎物理学研究所において主催した
|
Research Products
(4 results)