2010 Fiscal Year Annual Research Report
強レーザー場中における原子・分子再散乱電子の運動量分布及び応用の理論研究
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20540386
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
トン ショウミン 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (80422210)
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Keywords | 強レーザー / 再散乱電子空間分布 / 非逐次電離 / 原子過程の制御 / 光電離吸収 / Auger崩壊過程 |
Research Abstract |
(1)昨年の研究の続きで、得られた再散乱電子のエネルギー分布と空間分布によって、経験的な電子とイオンの衝突断面積を使用して、ヘリウムの非逐次電離の確率を調べた。我々の計算による結果と実験の結果を比較したところ合致を確認した。また、各帰還順位電子が非逐次二重電離に対して寄与が古典計算の予測と異なることが判明した。この研究は将来短パルスにおける原子の非逐次二重電離過程の解明に対して、重要な一歩である。この結果はPhysical Review Aに発表された。 (2)大規模数値計算で、赤外線補助の原子光電離研究を行った。赤外線と軟X線間の時間遅延によって、軟X線が物質を透過するかどうかを短い時間(フェト秒或いはアト秒範囲)で制御できることを判明した。現在の実験状況によって、ある軟X線に対して、吸収の強度が赤外線で最大20パーセント範囲で制御できたが、完全な制御の条件を理論計算で探索した。完全な制御というのは軟X線が物質をすべて透過するかしないかという過程である。その上に、実験への指導のために、赤外線補助の原子光電離吸収断面積の計算方法を開発した。この研究結果は二つの論文として、Physical Review Aに発表された。完全制御の条件を提案とし、アメリカの実験グループに渡して、その実験グループと共同研究を行っている。 (3)最近赤外線と軟X線を同時にAr原子に照射すると、沢山二重電離イオンを観測した。その現象は従来の理論で解釈できなかった。我々の理論研究によって、赤外線で普通できないAuger崩壊過程ができる現象を発見した。この過程はかなり重要な過程であるので、もっと詳しい分析を行っているところである。最初の研究結果はこの分野有名な雑誌、Physical Review Lettersに発表された。
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Research Products
(6 results)