2009 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性及び間隙弾性を考慮した巨大地震の余効すべり分布の解明
Project/Area Number |
20540404
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 利典 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (70222015)
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Keywords | 地震 / 地球変動予測 / 地殻変動 / 地震発生過程 / 粘性緩和 |
Research Abstract |
本年度は、この研究の3つの目的、(1)粘弾性を考慮した媒質での巨大地震余効すべりの時空間分布の推定、(2)粘弾性と間隙弾性を考慮した媒質におけるすべり応答の定式化とプログラム開発、(3)地震サイクルモデルを適用した地震前変動からのすべり遅れ分布の推定、のうち、主に(1)と(2)について研究を行った。 (1)については、昨年度に引き続き2003年十勝沖地震の余効すべりの解析を進め、また、解析方法の高度化も進めた。解析においては、時間ステップを3ヵ月と短くし、2004年の釧路沖地震までの期間を解析した。その結果、粘弾性効果を考慮した場合、余効すべりは、深い場所に集中し、12ヶ月後から14ヶ月後(釧路地震直前)では、根室付近まで余効すべりが起こっていることがわかった。これは、従来の十勝沖の余効すべりがプレート境界全体で東に広がって釧路沖を誘発したというのではなく、プレート境界の深い部分を東に広がって下から釧路沖を誘発したことを示している。解析方法の高度化は、観測方程式を時間ステップごとに解くのではなくそのまま解く方法を試みたが、解の安定に問題があり引き続き検討する。 (2)については、表式が複雑であるので、まず、簡単な排水、非排水での表式を求めた。これは、弾性定数の値を排水、非排水に合わせたものに設定するだけでよい。これにより、地震後数週間での間隙弾性の効果を取り入れることができるようになった。上層を間隙弾性体、下層を粘弾性体として、その間をプロパゲーター行列でつないでしまうという方法での定式化は、ラプラス変換上では出来そうであるが、その逆変換が解析的に出来ないということが分かり、検討を続けている。
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