2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大地震アスペリティの実体解明のための海域構造調査および解析手法の開発
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20540408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 公廣 東京大学, 地震研究所, 准教授 (80292861)
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Keywords | 巨大地震 / アスペリティ / 人工地震調査 / 不均質構造 |
Research Abstract |
プレート境界型巨大地震の発生可能性が言われているニュージーランド北島南部の海陸統合調査測線において、エアガンを人工震源として陸上地震計、海底地震計およびハイドロホン・ストリーマーを用いた海域構造調査を、平成22年2月から3月にかけて行った。本調査ではプレート間カップリング強度の低い海溝軸周辺から、巨大地震発生帯、およびスロースリップの発生領域までにわたって、品質の高い地震波形データを取得することができた。昨年度までに、これらのデータを用いたP波の走時解析から不均質構造を求め、東から沈み込む太平洋プレートの形状や、上盤側地殻内の速度構造不均質に関する構造モデルを得た。本年度は、本調査で得られた人工震源の波形特徴についてさらに詳細な解析を行い、人工震源波形のモデリングを行った。実際に海底地震計で記録された震源波形と比較することによって、モデリングから予測される震源波形よりも、海底で観測される波形の方が人工震源のバブルの影響がはるかに大きいことが明らかとなった。このことによって、これまでに開発を行ってきた、実際に観測される波形を用いたデコンボリューションを適用する手法の合理性が確認された。さらに昨年度までの速度構造モデルに関して、さらにP波初動による走時解析を進めることによって、沈み込む太平洋プレート上に存在するヒクランギ海台の地殻の厚さがおよそ12.5kmであることを、初めて明らかにした。また、速度構造解析の対象領域を広げることによって、ヒクランギ海台の地殻下部からのP波の速度が非常に速い可能性があることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間内に、巨大地震発生域での海域構造調査を行って良好なデータを取得し、また本研究で開発を行っている手法を適用して解析を行っている。本研究解析手法の妥当性についても、初めて確認することに成功した。構造調査で用いる測器の開発については若干遅れがあるが、開発を進めるための準備について大きな問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
解析手法の妥当性が確認されたこともあり、このまま手法の開発を進めていくうえで大きな問題はない。ニュージーランドの巨大地震発生域における地震波速度構造モデルについては、ほぼ最終結果が出つつあり、論文にまとめていく。人工震源観測装置については、さらなる小型化を目指した改善を行っていき、機会があれば実際にそれを用いた観測を行う。
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Research Products
(3 results)