2010 Fiscal Year Annual Research Report
大量画像処理によるCSFD法とDL法を発展させた月微小地質区分の年代推定法研究
Project/Area Number |
20540416
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Research Institution | 宇宙航空研究開発機構 |
Principal Investigator |
春山 純一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (40373443)
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Keywords | 月 / 年代 / 探査 / 溶岩 / 地形 |
Research Abstract |
本研究は、月面上の1^0×1^0(約1000平方km)程度の微細地域(特にEratosthenian(約30億年前~10億年前)ならびにCopernican(約10億年前~現在)の微細地域)について、数億年より高い精度で噴出年代やクレータ形成年代を推定し、地質学的詳細区分を行う手法を開発しようとするものであり、本研究成果は、2007年夏に打ち上げられた我が国の月探査機「かぐや」(SELENE)に搭載されている光学カメラ(地形カメラならびにマルチバンドイメージャ)データに適用されることを目的とした。 平成20年度に解析手法を確立し、21年度に部分的に適用され、これまで論文投稿によって、国際的な評価も得ることができた。研究最終年度となる平成22年度は、その集大成として、全球適用に取り組んだ。取り組んだ月の海のユニットは、100近くに及んだ。非常に驚くべきことに、新たに地形カメラで得られた10m解像度データによるクレータのサイズ頻度分布は、べき関数上にきわめて良くプロットされ、その結果年代の推定誤差も抑えられるという結果を得た。またプロットにおける複数の関数も幾つかの地質ユニットにおいて確認された。これはすでに裏側の一部においても確認されていたことであるが(Haruyama et al., 2008, Science ; 2009, GRL)、多段階溶岩流噴出過程を示すものとして注目される。本研究では誤差の大幅な減少により月のモデル年代の妥当性をあげるとともに、小さな領域への適応により比較的若い時代の噴出領域の年代確定も可能にした。実際具体的に、月の溶岩噴出活動が、全球的には25億年前まで、嵐の大洋・雨の海領域では15億年前まで起きたことが明らかにされ、月の内部活動が20億年も続いたことを見いだす(Morota et al., 2011)という重要な科学的成果にも結びついた。
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Research Products
(8 results)