2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540429
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久木 幸治 University of the Ryukyus, 理学部, 教授 (60305183)
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Keywords | リモートセンシング / 海洋レーダ / 波浪スペクトル / エネルギー平衡方程式 / ドップラースペクトル / 二次散乱 / 波高 / 品質管理 |
Research Abstract |
短波海洋レーダによる波浪推定の,実用化のための研究を行った。短波海洋レーダとは,沿岸から,短波帯の電波を海面に照射し,海面によって散乱されて戻ってきた電波をスペクトル解析することによって,表層の海流や波浪などを観測する装置である。スペクトル解析によって得られたスペクトルは,ドップラー周波数の関数として表される。これをドップラースペクトルという。ドップラースペクトルには,一次散乱という大きなピークと二次散乱と呼ばれる小さなピークが見られる。波浪スペクトル推定には,一次散乱のみならず二次散乱も用いる。従って雑音の影響を受けやすい。さらにドップラースペクトルが雑音の影響を受けた場合,波高を過大評価してしまう。そこで短波海洋レーダから得られた波浪データを品質管理を簡便に行う手法を開発した。まずドップラースペクトルの雑音を評価する。その雑音を差し引いたスペクトル値から波浪スペクトルを推定する。それでも雑音が十分に除去されていない場合もある。この波浪スペクトル推定手法は,波浪スペクトルとドップラースペクトルの関係式の他に,エネルギー平衡方程式を用いている。従ってエネルギー平衡方程式における伝搬項及びソース関数を見積もることができる。それらから波浪スペクトルの時間変化率を見積もることが可能である。この方法で,レーダによって推定された波浪スペクトルから波高の時間変化率を評価する。この波高の時間変化率を基に得られた波浪データの品質管理を行った。その結果,雑音の影響を受けた波浪データを除去することが可能となり,現場観測との比較結果も向上した。またレーダ・現場観測・モデルとの相互比較を行い,波浪スペクトル推定の評価を行う研究にも着手した。
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Research Products
(3 results)