2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540459
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
金沢 謙一 Kanagawa University, 理学部, 准教授 (10386807)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 康生 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (90192583)
神谷 隆宏 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80194976)
|
Keywords | 進化 / 古生態 / ウニ類 / 系統分類 / 機能形態 / ブンブク / 生態 / Linthia |
Research Abstract |
●新生代ウニ類の研究:昨年度までのLinthiaに加えて、やはり日本の新生代から多産するBrissopsisについて分類学的、古生態学的研究を行った。 (1)Linthiaの調査研究では、昨年度に続き、新たに入手した標本を加えて生物統計学的解析を進めた結果、L.nipponicaとL.tokunagaiは同種であることがほぼ疑いないという結論に達した。 (2)Brissopsisは、日本では太平洋側の地域の中新世以降の地層から3種、1亜種が知られ、これらの生物統計学的解析を行った。その結果、B.makiyamai、B.japonica、B.luzonicaは形態学的に明瞭に区別されるが、B.luzonicaとB.luzonica cosibensisは、形態的には区別ができず、同種という結論に達した。古生態学的調査では、これらの種はいづれも陸棚下部から漸深海を示す泥質堆積物から産出し、これは現生種B.luzonicaの生息域と同じである。すなわち、中新世以降、Brissopsisは日本周辺では同じ生息場所を維持し続けていることを示している。 ●日本の白亜紀ウニ類フォーナの特殊性の解明 ○田中啓策の一連の研究で扱われたウニ類について、紀伊半島から四国、九州に至る西南日本から産出したものについては、層序学的位置を特定し、堆積相、同層準から産出する他の化石群についての整理を行った。 ○宮古層群から産出したブンブク類Epiasterについて調べた結果、これまでに記載された2種E.zonariusとE.miyakoanusの形態の違いは種内変異の可能性があることがわかった。 ●浅海砂底に棲む現生ウニ類の生態と機能形態に関する研究 (1)隠岐に生息するブンブク4種の継続調査では、個体群動態の調査から、堆積物表層に棲む種は成長が早いが寿命が短く、堆積物中深くに棲む種は成長が遅いが寿命が長いことが示唆された。沖縄に棲む、館山に生息するカシパン1種について調査を行った。 (2)沖縄ではブンブク2種とカシパン2種の調査を行った。ミナミオオブンブクは、ウニ類の天敵トウカムリの捕食に遭い、この巻貝と同所的に暮らしていることがわかった。また、ウリザネブンブクは、サンゴ礁内の隔離環境で半表在生の生活様式をとる珍しいブンブクであることがわかった。
|