2009 Fiscal Year Annual Research Report
TEM-EELSによる惑星物質のサブミクロンスケールでの構造・化学解析
Project/Area Number |
20540467
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
富岡 尚敬 Okayama University, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30335418)
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Keywords | 透過電子顕微鏡 / 斜長石 / ガラス化 / ラマン分光 / 超高圧実験 / 衝撃変成 |
Research Abstract |
激しい衝撃変成を受けた石質隕石中では、その主要構成鉱物である斜長石の一部が固相のままガラス化しており、衝撃スケールの重要な一指標となっている。従来は、衝撃回収実験のみからガラス化の圧力が見積もられてきた。しかし、衝撃実験における圧力保持時間は10-6secオーダーであり、天然の隕石母天体(100secオーダー)と比較すると極めて短い。従って、相転移に必要な時間が十分与えられず、ガラス化圧力が過剰に評価されてい可能性がある。 本研究課題では、圧力保持時間をより長くとることのできる外熱式ダイヤモンドアンビルセルを用い、Ab99Anl組成の斜長石粉末の圧縮実験を行った。試料は20-41GPaの圧力範囲で加圧後、室温のまま、あるいは170℃、270℃まで加熱して約30分保持した後、室温まで冷却し、その後減圧して回収物をラマン分光装置で構造を固定、ガラス化メカニズムを調べるため、一部の試料は透過電子顕微鏡(TEM)でも解析した。その結果、1)静的圧縮により斜長石が完全にガラス化する圧力は、170℃では室温とほとんど変わらず37GPa程度であるが、270℃では31GPaと有意な圧力低下がみられた。この結果は斜長石のガラス化は熱活性化過程であることを示唆すること、2)隕石母天体でのガラス化圧力を圧力保持時間の影響も考慮して見積もると、従来衝撃回収実験に基づも求められた圧力より10GPa以上低いこと、3)回収試料のTEM観察によると、ガラス化は結晶ドメインサイズの減少によるものであり、隕石や衝撃回収試料に見られるラメラ状のガラス化は確認できなかった。出発物質の粒径がガラス化圧力とメカニズムに与える効果も検討する必要があること、が明らかになった。
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Research Products
(6 results)