2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550018
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Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
岩田 末廣 Toyota Physical & Chemical Research Institute, フェロー (20087505)
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Keywords | 分子間相互作用 / 量子化学理論 / 基底関数欠損誤差 / 水2量体 / 水素結合 / ファン・デア・ワールス項 / 電荷移動項 |
Research Abstract |
局所射影Hartree-Fock分子軌道(Locally Projected、LP SCFMO)を基底とした摂動論によって基底関数欠損誤差(Basis Set Superposition Error, BSSE)を避ける高速計算法を構築した。この理論で大切な点は、励起軌道もまた局所的に射影しないと、BSSEが再度導入されてしまうことである。拡がった基底関数を含むaug系基底関数を用いた場合は、全ての局所射影励起軌道を摂動計算に用いて、水やHFの多量体形成エネルギーをBSSEなしに計算出来る。より小さい基底関数を使う場合にも、簡便にBSSEを制御する積分スケーリング法を導いた。また、安定化に寄与する電荷移動項を明確に定義することも可能であることを示した。さらに、ファン・デア・ワールス項を計算するために2電子励起など多電子励起を加えると、大きなBSSEを生じ、通常用いられているCounterpoise法は妥当な補正法を提供しないことを明らかにし、局所射影励起軌道を使った多電子励起を制限した摂動計算によって、BSSEを導入しないファン・デア・ワールス項計算法を構築した。例としてもっとも小さい相互作用系であるHe-Heに適用可能であることを示した。
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