2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550035
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中垣 良一 Kanazawa University, 薬学系, 教授 (20159057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福吉 修一 金沢大学, 薬学系, 助教 (10456410)
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Keywords | 光着色現象 / ジニトロベンジル基 / 複素環化合物 / 再結晶 / 1-(2,4-ジニトロフェニル)エチル基 / 不斉炭素 / ビピリジン / フェナントロリン |
Research Abstract |
(A)1-(2,4-ジニトロフェニル)エチル基をピリジンの2位において連結させた化合物(1)を合成し、光着色現象を検討した。近紫外光を(1)に照射すると色調の変化を検出できたが、FT-IR法では赤外吸収スペクトルの上では極めて微小な変化しか検出できなかった。顕微分光法により着色分子種の可視部の吸収スペクトルを測定した。光照射により生じる着色分子種のすべてが原系に戻るのではなく、不可逆的に生成物が生じることが明らかになった。化合物(1)の結晶に近紫外光を照射すると、不斉炭素が消失する。(1)のラセミ体をHPLC法により、2種類の対掌体に分割し、その溶液に紫外光を照射したところ、光学純度の低下が観察された。これは、1-(2,4-ジニトロフェニル)エチル基の不斉炭素と結合する水素原子が可逆的光着色現象に関与していることを意味する。化合物(1)の結晶は種々の溶媒を用いて得られたが、いずれも結晶中の光着色現象が観察された。 (B)1-(2,4-ジニトロフェニル)エチル基を2,2'-ビピリジルの6位において連結した化合物(2)および1,10-フェナントロリンの2位において連結した化合物(3)を新規に合成し、光着色現象を検討した。化合物(3)の結晶は種々の溶媒から得られたが、光照射により可逆的着色現象を起こさなかった。化合物(1)と化合物(3)のラセミ体について、X線構造解析により結晶構造・分子構造を明らかにした。いずれも、S体とR体から成る特殊な対から、安定な結晶が形成されていることが判明した。2,4-ジニトロベンジル基を1,10-フェナントロリンの2位において連結した化合物(4)は再結晶に用いる溶媒によって、光物性の異なる結晶多形が生成した。
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