2008 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン捕捉能を有する新規なメタラマクロサイクリック化合物の自己集積化
Project/Area Number |
20550069
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
前川 雅彦 Kinki University, 理工学総合研究所, 准教授 (70229293)
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Keywords | 配位高分子 / メタラマクロサイクリック / 自己集積化 / 分子認識 / アニオンレセプター / 銅錯体 / エチレン付加体 / カルボニル付加体 |
Research Abstract |
ホストーゲスト化学に関連して、有機の大環状化合物に対比した無機の大環状化合物(メタラマクロサイクリック)は極めて少ないアニオンレセプターとなりうることが期待されている。本研究では配位子として4-(2-ピリジル)ピリミジン(pprd)および4,4'-ビピリミジン(bpm)を用い、新規なアニオンレセプターを指向したCu(I)メタラマクロサイクリック-エチレン・カルボニル付加体の合成を試みた。主な研究成果を以下に示す。 (1) [Cu(CH_3CN)_4]X (X=PF_6, BF_4)とpprdをC_2H_4およびCO中において反応させた場合、その空孔内にPF_6^-アニオンを捕捉したカリックス[4]アレン型四核Cu(I)エチレンおよびカルボニル付加体(Maekawa, et al., Chem. Commun., 2007, 5179.)に加え、本研究ではさらにX=BF_4を用いた場合、その空孔内にBF_4^-アニオンを捕捉したイス型六核Cu(I)エチレン付加体[Cu_6(pprd)_6(C_2H_4)_6](BF_4)_6が生成することを見出し、そのX線構造、溶液内構造、熱化学的性質などを明らかにした(Maekawa, et al., Dalton. Trans., 2009, 415.)。併せてこれまで報告例の少ないNO_3アニオンが配位したCu(I)-エチレン付加体の単離、構造決定も行った。 (2) pprdの類縁配位子として、橋かけ部位を1つ増やしたbpmを新たに合成し、二次元に拡張されたCu(I)メタラマクロサイクリック-エチレン付加体の自己集積化を試みた。エチレン雰囲気[Cu(CH_3CN)_4]BF_4とbpmを反応させたところ、メタラカリックス[3]アレン型Cu(I)エチレン付加体が他のCu(I)イオンによりさらに橋かけされた二次元シート状配位高分子{[Cu_4(bpm)_3(C_2H_4)_3(CH_3CN)](BF_4)_4}_nが生成し、その空孔内にBF_4^-アニオンを選択的に捕捉できることを見出した。 これらの研究結果は新規な無機のアニオンレセプターを設計・合成する上で有用な結果である。
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