2008 Fiscal Year Annual Research Report
アザビシクロ型高歪み小員環の合成とその反応性の解明
Project/Area Number |
20550102
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
林 一彦 Kinjo Gakuin University, 薬学部, 准教授 (80410603)
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Keywords | 1-azabicyclo[1.1.0]butane / 小員環 / 1-azabicyclo[3.1.0]hexane / 高歪み / リチウム / L-084 / ABB / ABH |
Research Abstract |
1.1-Azabicyclo[1.1.0]butane(ABB)の反応 最終目標はABBの3位への炭素-炭素結合反応である。その反応を開発するためには、まずABBの反応性をより詳細に解明する必要がある。そこで、すでにABBと反応することが知られている酸や酸塩化物等の求電子試薬より反応性の低い活性アミドとの反応を検討した。その結果、ルイス酸を添加することで、酸や酸塩化物等と同等に反応することを見出した。この反応によって得られた生成物は、加水分解することでアゼチジンチオールへと低収率ではあるが、変換することができた。今後、高収率化を目指し反応条件の最適化を行う。このアゼチジンチオールは、カルバペネム系経口抗菌剤L-084の重要な中間体であることが知られているとともに、本法はアゼチジンチオール誘導体の簡便な合成法になりうると考えられる。 2.1-Azabicyclo[3.1.0]hexane(ABH)の合成 ABBの閉環反応において、アルキルリチウムが塩基として効果的であることをすでに報告し、リチウムカチオンが重要な役を果していることも見出している。今回、この手法をABHの閉環反応に応用した。その結果極めて良好な収率で反応が進行し、目的とするABHを得ることができた。今後、その反応機構も解明する。 3.ABHの反応 上記2.で得られたABHを用いて、塩酸、ハロゲン化アルキルおよび酸塩化物で反応性を検討した。塩酸との反応ではピロリジン誘導体とピペリジン誘導体の混合物が得られた。また、ハロゲン化アルキルとの反応と酸塩化物との反応では主生成物が異なることが判明した。反応の選択性とその理由について、さらに多くの基質との反応を行うことで解明する。
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