2011 Fiscal Year Annual Research Report
アザビシクロ型高歪み小員環の合成とその反応性の解明
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20550102
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
林 一彦 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80410603)
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Keywords | 1-azabicyclo[1.1.0]butane / 小員環 / 1-azabicyclo[3.1.0]hexane / 高歪み / リチウム / aziridino[1.2-a]indolidine / ABB / ABH |
Research Abstract |
1.1.1-Azabicyclo[1.1.0]butane(ABB)の反応 触媒を用いたABBの3位への炭素-炭素結合反応を開発することが目的である。パラジウム触媒、コバルト触媒ででは成功するには至っていない。今後は、鉄触媒での反応を主に検討していく。 2.n-BuLiを用いた高歪み小員環の合成 n-BuLiを用いた1-Azabicyclo[3.1.0]hexane(ABH)の合成法はすでに確立している。今回は、原料となる2-bromomethylanilineを閉環させることでbenzoazetineを得る手法の確立を目指した。しかし2-bromomethylanilineの効率的な合成法を開発するには至らず、本閉環反応の検討は中断している。そこで、別の高歪み小員環aziridino[1.2-∂]indolidineの合成を目標に、原料となる2-(2,3-dibromopropyl)anilineを合成した。今後はn-BuLiによる温和な条件下での閉環反応を検討する。本化合物は、天然物の基本骨格に多く見られるジヒドロインドール誘導体やテトラヒドロキノリン誘導体の有用な中間体となり、各種天然物の合成に応用可能である。また、当初の研究目的であった1-azabicyclo [2.1.0] pentane (ABP)の合成に向け、原料となる3,4-dibromobutylamine hydrobromideまで合成した。今後、本化合物のn-BuLiによる閉環反応も検討する。 3.ABHの反応 すでにABHとハロゲン化アルキルおよび酸塩化物との反応を検討し、熱力学支配か速度論支配かによって主生成物が異なることを見出している。昨年度は安息香酸無水物との反応を検討し、酸塩化物と同一の選択性でピロリジン誘導体が主に生成することを確認した。今年度は、その一般性を確認する目的で、各種酸無水物誘導体で本反応を検討し、ABHと酸無水物との反応では一般にピロリジン誘導体が主生成物となることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的4テーマのうち、ABHの合成とABHの反応性の解明の2テーマは完了した。また、当初の目的にはなかった、カルバペネム系経口抗菌剤オラペネムのペンダント合成に成功している。この2テーマに関しては当初の計画以上に進展している。しかし、現在検討しているABBの3位への炭素-炭素結合反応とABPの合成と反応性の解明の2テーマは、目的物の合成に未だ至らず、やや遅れている。以上の結果から、総合評価をおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在検討しているABBの3位への炭素-炭素結合反応とABPの合成と反応性の解明を主に検討していく。ABPの合成が困難な場合は、それに代わる有用な高歪小員環の合成を検討し、その反応性を解明していく。
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