2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550111
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 直毅 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60243127)
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Keywords | 環境分析 / 自己組織化 / 生体材料 / 脳・神経 / ナノ毒性 |
Research Abstract |
sHSPファミリーに属するαクリスタリンは眼球の水晶体において蛋白質凝集を防ぐ機能を有している。αクリスタリンのA鎖の基質結合部位FVIFLDVKHFSPEDLTVKは、断片化しても蛋白質の熱凝集を抑制することが報告されているが、これまで我々の研究によりこのシャペロン様活性がペプチドの自己会合により増幅されることを示すことを明らかにしている。この知見をもとに、本研究ではこのペプチドを金コロイドに固定化しその活性を増幅するとともに、凝集体センサーとしての応用を検討する。 金コロイドを1mM塩化金酸水溶液を54oCで10分間還流し、2mlの38.8画クエン酸3ナトリウム水溶液を加えて調製した。金コロイドへのペプチドの固定化にはチオール基の配位結合を利用した。システインを導入したシャペロンペプチドCFVIFLDVKHFSPEDLTVKを1mMになるように調製し、15.8nMの金コロイド溶液とペプチドを10:1の割合で混合した。その後、遠心を行い沈殿物をリン酸緩衝液で再懸濁した。ADHの温度依存による不活性変化とペプチドを固定化した金コロイドを添加したADHの不活性変化を調査した。実験方法はADHを触媒にして、エタノールのアセトアルデヒドへの酸化反応が起こる際にNAD^+がNADHへ還元することによる吸光度変化を利用した。ADHは温度が上昇すると不活性が促進すると示唆された。また、ADH単独の55℃よりもペプチドを固定化した金コロイドを加えた方がADHの不活性を抑制した。さらに金コロイドの濃度が高くなるとADHの不活性が抑制された。金コロイドの大きさが異なるとペプチドの結合数が変化することから、ADHの熱凝集の抑制実験に影響があると考えられる。今後の実験で大きさを一定にするために小さい金コロイドの除去を行っていくつもりである。金コロイドは分子安定性が金属の中で高く、生体に対する毒性が低いと言われているので生体内分布を調べることに最も頻繁に用いられている。
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