2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550168
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 恵啓 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (70151553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 彰 信州大学, 繊維学部, 助教 (40227525)
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Keywords | 分解性界面活性剤 / 加水分解 / 乳化重合 / ポリマーラテックス / 溶媒抽出 / イオン対抽出 |
Research Abstract |
合成界面活性剤の多くは、その恒常的な界面活性能のために環境汚染や製品の品質低下などを招く。そこで本研究では、温和な条件下で分解可能な加水分解性界面活性剤に着目し、上記問題の解決法を探ると共に環境低負荷型機能性材料としての応用を検討した。 1. ベタインエステル基を有するカチオン性界面活性剤を合成しそれらの界面活性能および加水分解性を詳細に調べた結果、汎用界面活性剤と同等の優れた性能(溶解力、分散力、起泡力等)を有すること、室温、希アルカリ水溶液中(pH<11)で迅速に分解し界面活性能を消失することがわかった。また、上記活性剤を用いて固体基質(色素)を水に溶解あるいは分散後少量のアルカリ添加することで瞬時に沈殿回収できることを見出した。 2. 上記の結果を基に乳化重合用乳化剤への応用を検討した。スチレン及びアクリル酸エステルの乳化重合により得られた各ポリマーラテックス溶液に少量のアルカリを添加することにより、ポリマーを瞬時かつ定量的に回収できると共にイオン性化合物を全く含まない高品質ポリマーを得ることに成功した。さらに、得られたポリマーラテックスを用いてアルカリ処理した紙表面をポリマーで容易にコーティングできること、紙表面に疎水性や粘着性を容易に付与できることを見出した。 3. ベタインエステル基を有する新規脂溶性界面活性剤を溶媒抽出剤として用いて種々のアニオン性基質の溶媒抽出を検討した結果、DNAを有機溶媒に抽出後弱アルカリ水溶液に逆抽出することで効率良く分離回収できることがわかった。さらに、有機層への抽出時にアニオン性基質とカチオン性基質の選択分離が、水層への逆抽出時にアニオン性基質の選択分離がある程度可能であることを見出した。
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