2008 Fiscal Year Annual Research Report
ALL-MOD法による超伝導薄膜の安価な作製と固有接合および界面制御接合への応用
Project/Area Number |
20560019
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
内山 哲治 Miyagi University of Education, 教育学部, 准教授 (10323784)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 塗布熱分解法 / 有機金属分解法 / ジョセフソン接合 / 固有ジョセフソン接合 / 薄膜 |
Research Abstract |
当該研究目的にある固有ジョセフソン接合を発現するBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+x>(Bi-2212)薄膜の実現のためには, いかに結晶性の高い(単結晶に近い)試料を作製するかが重要である. H20年度の当初計画は, Bi-2212の強い2次元的結晶成長の性質を利用して, 3種類の異なる基板(MgO基板, SrTiO_3(STO)基板, 石英ガラス基板)上に塗布熱分解(MOD)法でBi-2212薄膜を作製することであった. 年度途中, 結晶性の評価に用いるX線回折装置が故障したため, 石英ガラス基板を用いた場合の条件出しが進まなかったが, MgOおよびSTOでは目処が付いた. また出発原料に対して, 価格の低下および化学量論組成の変更を可能にするために, 市販のMOD溶液ではなく焼結粉体を有機溶媒で溶解した溶液を用いた実験を行った. 結果としては, MODの場合と成膜条件が異なるため, MOD溶液を用いた場合と比較し, 成膜後の表面平坦性および組成制御に問題点が見られるが, 超伝導性は確認できた. H21年度も引き続き行い, より低価格で組成制御が容易な成膜を目指す. また, 当初計画には無かったが, 本学近郊の東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センターにおいて, Bi-2212薄膜成長における強磁場効果の実験を行った. 現時点でプレリミナリーではあるが, 薄膜と基板の格子整合性から基板面内での単相配向制御が困難なMgO基板を用いたBi-2212成膜において, 薄膜と基板の格子整合性からは説明できない回転角が約1°に制御された結果を得た. これは, 当該研究の目的からして, 非常に有益な結果であり, 今後引き続き行う予定である.
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