2010 Fiscal Year Annual Research Report
ALL-MOD法による超伝導薄膜の安価な作製と固有接合および界面制御接合への応用
Project/Area Number |
20560019
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
内山 哲治 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (10323784)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 塗布熱分解法 / 有機金属分解法 / ジョセフソン接合 / 固有ジョセフソン接合 / 薄膜 |
Research Abstract |
H22年度の研究目的は,(1)自作溶液を川いた塗布熱分解(MOD)法によるBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+x>(Bi-2212)薄膜の作製,(2)塗布法Bi-2212薄膜の高品質化のための強磁場中成膜,(3)固有接合のための制御された穴あき基板の作製,(4)Bi-2212と異なるMgB_2超伝導体の塗布法による薄膜作製であった。 (1)昨年度,Bi-2212焼結体を用いた白作溶液で超伝導を示す薄膜作製に成功した。ジョセフソン接合に有利なマイクロメートルオーダーの厚膜が得られたが,薄膜の表面ラフネスがサブマイクロメートルと大きく改善の余地があった。今回,溶融させることによって表面ラフネスを数ナノメートルのオーダーに押さえることに成功した。さらに,自作溶液に改良を加え,焼結体を川いないでイオン溶液の状態からの成膜に成功した。ただし,この場合Bi-2212ではなくBi-2201となる。 (2)塗布法の利点を活かして最大8Tの強磁場中で成膜を行い,結晶性・配向性の向上を目指した。 これまで報告があるYBa_2Cu_3O_<7-x>程の結品性の向上は見られず,転移温度は向上したもののBi-2212特有の面内の配向性制御をまでには至らなかった。これは,基板と薄膜の界面エネルギーの大きさが強く効いているためと考えられる。 (3)昨年度穴開き基板の作製に成功していたが,穴形状が歪であり使用に耐えなかった。そこで,レーザー加工を導入することにより穴の直径が70μmφ,テーパー角度73°の真円に近い穴開き基板の作製に成功した。 (4)Bi-2212との界面接合のために異種超伝導体であるMgB_2薄膜作製を試みた。(1)で述べたと同様にイオン溶液を作製した処,X線回折による構造解析において,MgB_2の構造を示す回折ピークが得られた。今後,異種接合の可能性を含めて,詳細に調べる予定である。(781文字)
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