2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒用希少元素の節約・再利用のための半導体表面担持型触媒の設計と開発
Project/Area Number |
20560021
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 Tottori University, 工学研究科, 教授 (70183001)
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Keywords | 環境技術 / 表面界面物性 / 薬学 / 触媒 / 計算物理 / 廃棄物再資源化 / パラジウム / 硫黄 |
Research Abstract |
実験では硫化したGaAs基板にパラジウム原子を載せた系で周東・有澤(北大薬学)、塚本(阿南高専)らによってヘック触媒反応が報告されているので、まずその系に絞って第一原理計算を行った。2×2のスーパーセルでの第一原理計算により、硫黄原子とパラジウム原子のそれぞれの安定吸着位置と吸着エネルギーを計算した。さらに、硫黄原子とパラジウム原子がそれぞれ1個ずつ共吸着した場合での両原子の安定吸着位置と吸着エネルギーを計算した。また、それぞれの場合の電子状態の違いを調べた。 計算の結果判明したことは、硫黄原子を先に吸着させても、後から吸着したパラジウム原子の安定吸着位置の方が硫黄原子より内側となることと、硫黄原子との共吸着の場合の方がかなりパラジウム原子の吸着エネルギーが強くなることである。つまり、硫黄原子の役割はパラジウム原子を強く表面上に結合させることであると言える。このことは、実験において硫化していないGaAs基板上にパラジウム原子を載せた場合に触媒活性は示すものの数回の実験で触媒活性が失われてしまうのに対し、硫化させたGaAs基板にパラジウム原子を吸着させた場合は100回程度実験を繰り返しても触媒活性の劣化があまり起きないという事実を説明する計算結果であると言える。 このことから、硫黄以外の原子を代用させてパラジウム原子を固定させることも可能であることも結論づけられた。 また、GaN(0001)基板についてもパラジウム原子と硫黄原子の吸着位置を明らかにした。
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