2010 Fiscal Year Annual Research Report
触媒用希少元素の節約・再利用のための半導体表面担持型触媒の設計と開発
Project/Area Number |
20560021
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70183001)
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Keywords | 触媒 / パラジウム / 第一原理計算 |
Research Abstract |
実験では硫化したGaAs基板やGaN基板、金基板にパラジウム原子を載せた系で周東・有澤(北大薬学)、塚本(阿南高専)らによってヘック触媒反応・鈴木触媒反応が報告されているので、まずその系に絞って第一原理計算を行った。前年度にGaN基板と金基板(100)について2×2のスーパーセルでの第一原理計算により、それぞれの基板で硫黄原子とパラジウム原子のそれぞれの安定吸着位置と吸着エネルギーを計算した。さらに、硫黄原子とパラジウム原子がそれぞれ1個ずつ共吸着した場合での両原子の安定吸着位置と吸着エネルギーを計算した。また、それぞれの場合の電子状態の違いを調べた。 今年度は、金(111),(100),(110)表面について、パラジウム原子と硫黄原子の共吸着を第一原理計算で詳細に調べ、さらに水酸基の影響についても調べた。計算の結果判明したことは、金基板の各表面でもパラジウム原子と硫黄原子が共吸着した場合はパラジウム原子の原子価がほぼゼロになり、ゼロ価で触媒反応を起こしやすくなるという経験則と一致する結果を得た。また、硫黄の吸着によってGaAs基板ではパラジウムの結合エネルギーが強くなったが、金基板ではそのような硫黄の存在によるパラジウム原子の結合エネルギーの増加は見られなかった。また、水酸基がさらに吸着する場合、いずれの金基板においても、パラジウム原子が硫黄原子より外側に移動することが判明し、パラジウム原子の原子価がゼロ価からややずれるとはいえ、原子位置から言えば水酸基があった方が触媒反応に有利かもしれないと推察される。
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