2009 Fiscal Year Annual Research Report
線量絶対測定による医療用密封小線源からの放射線量の方向依存性の研究
Project/Area Number |
20560051
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柚木 彰 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計測標準研究部門, 室長 (10415763)
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Keywords | 放射線 / 線量角度分布 / 線量絶対測定 / 放射線治療 / 医療用密封小線源 / 低エネルギーガンマ線 / 軟エックス線 / 線源回転装置 |
Research Abstract |
本課題においては、前立腺がんの放射線治療に用いられる、よう素125密封小線源について、線量測定の精度向上を目指して、線量の方向特性の精密測定を実現するための研究を進めている。本年度は大容積の自由空気電離箱の電極間隔を変えながら、よう素125から放出されるX線及びγ線と空気の相互作用により発生する微少電流を計測し、線量の絶対測定を行った。電流測定には市販の振動容量電位計を用い、電極間隔が変わっても信号配線ルートが変動しないように装置構造を工夫する事で、雑音による短期間の変動幅が約1fA以下という低雑音測定を実現した。また、よう素125からの放射線照射がない時に得られる電流値が、一日周期で4fA程度変動していたが、測定環境の改善により天然放射線の影響を半分以下に低減させ、電流測定結果の補正を可能とした。これらの改善を施した大容積自由空気電離箱を用い、よう素125密封小線源からの放射線の方向特性を評価した。昨年度は半導体検出器で得られる計数に基づく線束の方向特性の評価であったが、今年度は大容積自由空気電離箱を用いる事で、放射線治療におけるパラメータとなる、線量の方向特性を評価した。その結果、線源の中心と検出器中心を結んだ線と、線源長軸がなす角が90^°の場合に対して、30^°では線量が65%まで減少することを確認した。また、線源を上下反対に置いた場合には約5%の減少が観察された。これは線源の内部構造に起因していると予想される。線源を長軸周りに回転させた場合の方向特性についても評価し、数%の変動があることを確認した。この変動は密封小線源の製造工程で生じる、よう素付着の不均一さに起因すると考えられる。これらの結果は、線源個体差の評価を含めた詳細な調査により線量測定の精度をさらに向上できる可能性を示唆している。
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Research Products
(3 results)