Research Abstract |
平成20年度は,卓上CNCフライス盤を改良し,ゼラチン砥石の作製およびゼラチン砥石の基本的な加工性能について研究を進めた.まず,加工中の研磨抵抗および砥石の温度を計測可能とするため,動力計・温度計を卓上CNCフライス盤に設置した.次に,ゼラチン砥石の上表面近傍に生じる気泡層を除去するため,真空ポンプで減圧しながら固化させる装置を作製した.また,ゼラチン濃度および冷却速度が気泡層の生じやすさにおよぼす影響についても検討じた.作製した装置を用いることで,気泡層を減少させることは可能となったが,気泡層の生成は砥石組成の影響も大きく,全ての組成の砥石で完全に除去するまでには至っていない.しかし,表面の気泡層は加工最初期段階に剥がれ落ちるため,研磨結果には大きな影響をおよぼさないことは確認された.ゼラチン濃度を7wt%から24wt%まで変化させて研磨実験を行った結果,低濃度であるほど研磨効率は悪いことが明らかになった,しかし,被削材の初期粗さや材質によっては,適するゼラチン濃度・添加剤量が異なることも考えられるため,今後も引き続き検討する.使用砥粒を#400から#8000まで変化させて研磨実験を行った結果,砥粒径は小さいほど良好な研磨面が得られることが確認された.また,精密研磨を行う上では,切りくず等の排出性が砥粒径よりも重要であることがわかった.砥粒濃度を7wt%から30wt%まで変化させて研磨実験を行った結果,砥粒濃度の違いによる顕著な差異は認められなかった.被削材として硼珪酸ガラス,Fe-Al系金属間化合物,快削黄銅等を用いたが,いずれの被削材も研磨可能であった.また,ゼラチン砥石と被削材間の相対速度は一般に速いほど研磨効率は向上することがわかった.しかし,砥石の組成によっては表面のスラリー化が激しく,相対速度が遅い方が良い場合も確認された.
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