Research Abstract |
平成21年度は,平成20年度に各種平板を研磨することで得られた成果を踏まえ,形状や材質の異なる3種類の被削材(凸面ガラス,純アルミ(A1050),高硬度セラミックス(インサート))の研磨実験を行った. 凸面ガラス(初期粗さ10nm)の研磨実験では,形状精度は維持しつつ,表面の粗さだけを取り除くためのゼラチン砥石組成・研磨条件について検討した.実験の結果,ゼラチン濃度13wt%,砥粒GC#8000(砥粒濃度13wt%)の砥石で研磨(40分)することで,形状精度を維持しつつ,粗さのみを4.7nmまで向上させることができた.また,研磨面は磨りガラス状にはなっておらず,レンズの精密研磨に十分対応可能であることを明らかとした. 軟質金属であるA1050の研磨実験ではグミ状砥石(軸付きゼラチン砥石)を作製し,実験を行った.実験の結果,ゼラチン濃度26wt%,砥粒GC#8000(砥粒濃度2.6wt%)の砥石を用い,砥石回転速度2400mm/min,テーブル送り速度10mm/minの条件で研磨することで,初期粗さ255nmから175nmまで粗さを向上させることができた.ただ,研磨面粗さは向上するものの,光沢面は得られず,今後の検討課題である. 高硬度材料を効率良く研磨するには,これまで作製してきたタイプのゼラチン砥石では砥粒の逃げを生じ易いため難しい.そこで,セラミックインサートの研磨実験では,グミ状砥石よりもさらに高硬度なゼラチン砥石を作製して実験を行った.具体的には,乾燥工程を設けて乾燥ゼラチン砥石を作製した.実験の結果,乾燥工程にて10%ほど含水率を減少させた砥石で研磨(30分)することで,初期粗さ250nmから180nmまで粗さを向上させることができた.また,20%ほど含水率を減少させると,加工時にスラリー化を生じ難くなり,外部からの給水が必要であることがわかった.
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