2008 Fiscal Year Annual Research Report
火炎プラズマを用いたカーボンナノチューブ生成促進メカニズムの解明
Project/Area Number |
20560176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊東 弘行 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (30372270)
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Keywords | 燃焼合成 / カーボンナノチューブ / 電場 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)の燃焼合成法は装置が簡便でスケールアップが容易などの特長を有し、CNTを安価に大量に合成する手法として期待されている。しかし燃焼法では火炎周りの急な温度勾配やガス濃度勾配のためCNT生成に適した領域が狭く、CNT生成場および性状をコントロールするのが困難という課題を有する。 火炎は一種のプラズマであり電場を与えることにより陽イオンや中性分子が負電極方向へ移動するイオン風が生じることが知られている。CNT生成への電場の影響については、成長促進効果や結晶度改善効果が示唆されているものの詳細なメカニズムは明らかになっていない。本研究では、火炎に電場を供給して良好な温度および化学種濃度を有するCNT生成領域を能動的に広く形成し、CNTを大量に生成することを目指す。また、CNT生成に関与する金属触媒微粒子への化学種供給および電圧印加の作用メカニズムを解明することを目的とする。 平成20年度は燃焼法の火炎に電場を印加し、CNT生成領域の温度や化学種、生成するCNTへの電場印加の効果を調べた。その結果、浮遊触媒金属微粒子を用いて火炎の中に設置したCNT捕集網に負電圧を印加した場合に、従来の燃焼法では見られないほど大量の単層CNT(SWNT)が合成されることがわかった。負電圧を印加することによりSWNT捕集網近くの温度上昇、および温度勾配の緩和が見られ、SWNT生成領域の拡大が示唆された。またSWNT生成領域にてSWNT合成において重要と言われているCO濃度の増大が見られ、これらから、燃焼合成法に直流電場を供給することにより良好なSWM生成場を調整出来ることが示唆された。また電場印加によりCHラジカルの増大が見られ、CHラジカルのCNT生成への関与が示唆された。供給する電圧を大きくすると(-1.0kV以下)、生成するSWNTの結晶度が改善されることがわかった。
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Research Products
(5 results)