2010 Fiscal Year Annual Research Report
火炎プラズマを用いたカーボンナノチューブ生成促進メカニズムの解明
Project/Area Number |
20560176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊東 弘行 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30372270)
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Keywords | 燃焼合成 / カーボンナノチューブ / 電場 / 触媒活性 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)の燃焼合成法は装置が簡便でスケールアッが容易などの特長を有し、CNTを安価に大量に合成する手法として期待されている。しかし燃焼法では火炎周りの急な温度勾配やガス濃度勾配のためCNT生成に適した領域が狭く、CNT生成場および性状をコントロールするのが困難という課題を有する。 火炎は一種のプラズマであり電場を与えることにより陽イオンや中性分子が負電極方向へ移動するイオン風が生じることが知られている。CNT生成への電場の影響については、成長促進効果や結晶度改善効果が示唆されているものの詳細なメカニズムは明らかになっていない。本研究では、直流電場を印加することで従来の燃焼法では見られないほど大量の単層CNT(SWNT)合成が得られた。火炎構造が単純である対向流平面拡散火炎に直流電場を印加してCNT生成場の温度や化学種、生成するSWNTへの効果を調べた結果、CNT生成場の温度や化学種濃度に大きな変化は見られないものの得られるSWNT結晶度向上と直径分布変化が確認された。本研究は、CNT合成に直流電場の付与が直接的に与える効果の有無およびその要因を確認することを目的とする。 イオン風による物質輸送の影響を排除できると期待される電気炉を用いた定置触媒CVD法を用い、供給燃料濃度、印加電圧および生成時間の、多層CNT(MWNT)成長への影響を調べた。その結果、高燃料濃度(エチレン33.3vol%)条件において、電場を付与しない場合には短時間で成長が停止するが電場を付与した場合には成長継続時間が延長されること、また印加電圧強度の増大にともないCNT成長量が増大し且つその効果は0~-0.1kVにおいて顕著であることが確認された。また大きな炭素鋼片の浸炭への直流電場印加効果の有無を調べた。その結果、電場の付与は炭素の金属内部への拡散には影響しないが、金属表面における炭素の遊離促進あるいは金属表面のアモルファスカーボンによる被覆抑制に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)