2010 Fiscal Year Annual Research Report
パルスパワーによるナノマテリアル表面改質とその応用
Project/Area Number |
20560303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 公宣 九州産業大学, 工学部, 准教授 (40264072)
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Keywords | パルスパワー / ナノマテリアル / 表面改質 / カーボンナノチューブ / ストリーマ放電 / 伸展速度 / 水溶化 / ラジカル |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、半導体性や導電性、電子放出などの電気的性質に優れているため、電子デバイスの電気材料として極めて有力な材料である。しかし、CNTなどのナノマテリアルは一般に液体中では凝集体を形成しやすいため、応用上、本来の特徴を充分に発揮できないなどの解決すべき重要な問題がある。本研究では、CNT水溶化処理効率の向上をパルスパワー技術の観点より検討することを目的とする。 本年度は、CNT懸濁水中のパルスパワーによるストリーマ放電現象に着目して研究を行った。得られた主な成果は、下記の通りである。 1 CNTが水中に存在するとストリーマ放電現象が増強されることを明らかにした。 2 CNTによるストリーマ放電の増強効果として、ストリーマ放電の伸展速度が増加してストリーマ放電長が促進されることにより放電領域が増加することがわかった。特に、CNT懸濁水中のストリーマ放電の伸展速度及び伸展長は、水中の場合よりも2倍程度、増加する。 3 ストリーマ放電領域の増加によりCNT水溶化にとって重要なラジカル生成量が増加することを明らかにした。この結果は、CNTを効率的に水溶化する際に有用である。 4 ストリーマ放電の増強効果には、懸濁する材料のサイズに影響される。CNTよりもサイズが大きいグラファイト粉体での増強効果は、CNTの場合よりも低減する。 5 CNTによるストリーマ放電の増強効果は、CNTのサイズ及び形状が大きく影響することを電界計算により明らかにした。 以上の成果は、水中ストリーマ放電を用いたCNT水溶化の高効率化における重要な結果である。
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