2009 Fiscal Year Annual Research Report
スピン注入磁化反転による半導体-強磁性薄膜への高速光励起磁気記録の可能性
Project/Area Number |
20560315
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 豊 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00260456)
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Keywords | スピントロニクス / 磁気記録 / 強磁性共鳴測定 / 磁気光学カー効果測定 / 磁気緩和係数 / Fe / GaAs / RFマグネトロンスパッタリング |
Research Abstract |
本年度は提案した光励起磁気記録で重要な,半導体-強磁性薄膜接合系における磁気ダイナミクスを検討するために,1試料作製,2強磁性共鳴測定,に重点を置いて研究を行った。 1試料作製:RFマグネトロンスパッター法によりGaAs(001)面基板上にFe薄膜を成膜した。基板温度とArガス圧の最適化により膜質の向上を図った結果,作製された試料へのX線回折θ-2θ測定ではFe(002)面からの回折が観測され(Fe(011)面は検出されない),更にpole figure測定によりFe(001)面単結晶膜が出来ていることを確認した。またVSMによる磁化測定では,バルク鉄単結晶と同様の,飽和磁化(1.7kOe)とヒステリシス曲線が測定された。これらの実験結果はスパッター法においても,MBE法と同様に,GaAs(001)基板にエピタキシャル成長した強磁性Fe(001)面薄膜を成膜できることを示している。 2強磁性共鳴測定(FMR):マイクロ波周波数35GHz(Q-band)のFMRにより膜面内に磁場を印加した場合の共鳴磁場H_rと共鳴線幅ΔH_rを測定した。H_rの面内分布は磁気異方性を示している。MBE法により成膜したGaAs上のFe(001)薄膜についてはバルクの4回対称とは異なる1軸異方性が報告されている。しかし,今回スパッター方により成膜したFe薄膜の測定では1軸異方性は観測されずにバルクと同様に4回対称であった。一方,膜の磁気緩和を表しているΔH_rは膜面内の印加磁場方向に依存せず,きわめて小さい値を示した。
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